月別アーカイブ: 2021年6月

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン(3)

学 科 教 員 に よ る ワン ポ イ ン トレ ッ ス ン の第 3 回 目 は 、「生 物 学 」で す 。 介 護福 祉 士 を 目 指す 学 生 さ ん の 授 業で す か ら 、「 人間 の 身 体す べ て 」 を学 び ま す 。次 の よ う な問 題 に 取 り 組みながら、消化・吸収・代謝・排泄などを理解します。では、読んでみましょう。

A さ ん ( 女 性 ・8 2 歳 ) は、 医 師 か ら1 日 3 回 食 後に 服 用 す る薬 が 処 方 され て い る 。Aさんの食事時間は、朝食(8:00 ~ 8:40)、昼食(12:10 ~ 12:50)、夕食(18:00 ~ 18:40)である 。 あ る 日 、 朝 食 後 に 服 用 し な け れ ば な ら な い 薬 を 飲 み 忘 れ て し ま っ た 。飲 み 忘 れ て いることに気がついた時間は、その日の 11:00 であった。
さ て 、 A さ ん は 、 ど の よ う な 行 動 を す る の が 望 ま し い か 、 ど の よ う な 行動 が 望 ま し くないか、考えてみましょう。
飲 み 忘 れ た 薬 は す ぐ 飲 む の か な ?  飲 み 忘 れ た 薬 を す ぐ 飲 む と 危 険か な ?    な ぜ か な ?
誰に尋ねれば良いのかな。それはなぜかな。 残りの授業は「介護福祉学科」にいらっしゃってください。 お待ちしています。

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン ⑵

学科教員(あずさ)によるワンポイントレッスンの第二回目は、「社会福祉」です。

社会福祉のとらえ方として、いろいろな視点・観点(パースペクティブ)があります。

ここをおさえないままであると、学びとしても、実践としても整理もできずに、

我が道を突き進んだりして、考え方もばらばらになってしまいます。

例えば、こんな視点があります。。。

「主観と客観」「ミクロとメゾとマクロ」「価値と価値観」「多様なモデルとアプローチ」

そして、「原則と原理」…などなどです。

社会福祉は「実践の学問」といわれます。理論だけでなく、実践も必要なんです。

このあたりは、講義でじっくりと学んでいきます。。。

今日は、上に挙げた、さまざまなとらえ方からもみていく必要があるテーマの一つとして、

「生活」から、あれこれと考えてみます。。。

生活は、いつから始まりますか。。。私も父親として、息子らの誕生に立ち合いました。

生活は、いつにおわりますか。。。私も息子として、父と母を看取りました。

うれしかったし、悲しかったけれど・・・人間としての感動と学びもありました。。。

いまも、私のなかでは、ともにいます。

そうすると、生活の始まりも、生活のおわりも、理論的に、客観的に、測れるのかな。。。

私のなかの世界、「主観」だし、「ミクロ」な心のなかのこと。。。

こうしたとらえ方は、その人の「価値観」だし、生き方だし、十人十色。。。

同じでなくていい、ちがってていい。。。

あえてそれらを、社会福祉からとらえていこうとする方法に、

多くの「モデル」や「アプローチ」があります。

一人の個人を、「心理的にみていく」

あるいは、「環境からみていく」

あるいは、「治療を必要とする方としてみていく」

あるいは、「(その方の)育ちや生活歴(←人生ですね)からみていく」

あるいは、「(その方の)人間関係や社会関係からみていく」

こうしたモデルやアプローチの方法を活用して、その人のことがわかってくる。。。

そして、一つの実践として、(人は人を)支援していく。。。

ここで、大切なことは、こうした実践の積み重ねというのは、

あくまで経験則があり、あくまで「原則」です。

でも、こうした原則や科学的方法からはとらえることができないこともあります。

一人の方の、人間の存在、人間の尊厳、です。

これは、科学的に証明できないことでもあります。。。

これには、人間と人間が向き合う上で、揺るがない「価値」があります。。。

人間の存在、人間の尊厳を否定することは、認められません。

これは、社会福祉の根底にある「原理」です。

でも、これは、社会福祉の世界だけに限りません。

人間が、人間として生きていく上で、向き合う方を尊重するという価値に基づく生き方です。

 

最後に、繰り返します・・・

社会福祉は、実践の学問です。実践と学問の両方が必要です。

その根底に、人間の存在と人間の尊厳という価値があります。

社会福祉の学びでは、ここをおさえましょう。。。

「では、みんな楽しみにしている?・・・あずさ講義でお会いしましょう。」(あずさ)

 

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン (1)

今回から,本学科の教員が授業で扱っている内容をちょっとご紹介します。

高校生みなさんには「介護福祉学科って,こんなことやってるんだ」と思ってみてもらえればうれしいです。

第1回は,1年生の科目「多文化共生」からです。タイトルは:マイクロアグレッションです。みなさん,下のような会話をどう思いますか?

留学生:はじめまして,グエンです。よろしく。

日本人学生:はじめまして,鈴木です。よろしくね。グエンさん国はどこ?

留学生:ベトナム。

日本人学生:へえ,そうなんだ。日本語うまいね。

なんの変哲もないように見えますが,マイクロアグレッションという考え方を加えるといつもとは違ったものが見えてきます。

マイクロアグレッションとは,マイクロ (= 小さい),アグレション (= 攻撃性) という意味から成り立っています。説明的に訳すと「小さな攻撃」のようになります。話している日本人学生に悪気はありません。むしろ,本当に「すごいなあ」と思っているのだと思います。

でも,留学生の側からすると「いつまでたっても,日本社会に受け入れてもらえない…」「自分はいつまでたっても外国人だ」という複雑な気持ちを抱くことがあるようです。

これは,異文化間コミュニケーションだけで起こる話ではなく,日本人同士でも起こりうる話です。「まだ結婚しないの?」「男性なのに料理が上手だね」…など,悪気はないけど,知らず知らずのうちに相手を枠にはめたり,区別をしたりすることがあります。

本学科では,学生同士でディスカッションをしながら,なぜマイクロアグレッションが起こるのか,これから私たちはどんなことを考えながら社会生活を送っていけばいいのか,ひとりひとりが答えのない問題に取り組んでいます。

高校までとはちょっと違う勉強の仕方を経験できるのも大学・短大の魅力です。興味を持った方は,オープンキャンパスなどで本学科にお越しの際に気軽に教員に声をかけてみてください。

参考文献:有田ら編,新井ら著,2018,多文化社会で多様性を考えるワークブック,研究社

※ マイクロアグレッションに関しては,NHKが取り上げた,こちら も参考にしてみてください。