新連載! テーマむちゃぶり企画 第3回「夕焼け」

今回のテーマは「夕焼け」です。

下の写真は、筆者が撮った夕焼けの風景です。

はじめの2枚は東大阪大学の8号館8階から撮った夕焼けです(一番高いビルが、あべのハルカスです)。

もう1枚は、首都高速の上から撮った富士山と、東京スカイツリー、東京タワー(スカイツリーの左の方にちっちゃく赤く明るく見えるタワー)を1枚におさめた写真です。

最後が、江の島と富士山を映した夕焼けの写真です(筆者は神奈川県出身なので)。

ご覧頂くとわかるように、夕焼けはとても魅力的に感じられます。しかし、一方で、少し寂しい感情も呼び起こすのではないでしょうか。

介護の現場では、認知症の人に「夕暮れ症候群」という症状が現れることがよく知られています。英語でも、Sundown syndromeやSundowningと言われ、午後遅い時間、夕方や夜に、不安や、興奮、焦燥感、攻撃性、徘徊などが悪化することを言います。
研究により、認知症の人における夕暮れ症候群の有症率は2.4%から85%とかなり幅広く、性別や人種・民族による明らかな差もなく、1)はっきりとした原因もまだよく分かっていません。
原因を探る研究は多くなされていますが、大きく分けると生理的、心理的、環境的な要因が考えられています。
つまり、まず生理的要因としては、加齢やアルツハイマー病などによって、一日の生活リズムに関係するホルモンが減少したり(外出が減り、日に当たる時間自体も短縮化したり)、疲労などの不快感が溜まりやすくなったり、薬剤の影響がでやすくなるといったことなどがあると言われています。
また環境的要因として、夕方は、介護者側の疲労の蓄積や、施設における職員の交代で環境が大きく変わる時間帯であることなども影響していると言われています。
さらにいえば、我々は一般的に、夕方になると、家に帰らなければならない、食事の準備をしなければならない、子どもを迎えに行かなければならないなど、心理的・文化的にも、寂しさや、慌ただしさを感じる時間帯でもあります。

このようなことから、認知症の人に夕暮れ症候群が起こることは、理解しやすいと言われているのですが、施設に入居している認知症の人の興奮状態(agitation)の時間的な変化を調査した研究からは、興奮状態は、朝から午後4時頃まで徐々に増加し、その後減少することが明らかにされています。また、朝から夕方にかけての時間帯に、明らかに興奮が増加する人は26%に過ぎないといわれています。さらに、遅い時間に興奮状態が高まるという現象は、興奮状態の高い入居者においてであり、少数派に過ぎないとされています。この結果は、日中の介護スタッフの疲労の蓄積や、シフトチェンジ(勤務者の交代時間)による悪影響という仮説を支持しており、また入居者の疲労蓄積の影響も考えられます。このことから、「夕暮れ症候群(Sundown syndromeやSundowning)」という言葉は、適切でないのではないか、という問題提起もなされていました。2)

臨床的に、とても重要な意味をもつ研究分野として、自分でも取り組んでいきたいと感じています。

次週ですが、S先生お願いします。お題は「日本」です!

1) Boronot, A.C. et al. (2019). Sundown Syndrome in older Person. A Scoping Review. J Am Med Dir Assoc, 20:664–671.
2) Cohen-Mansfield, J. (2007) Temporal patterns of agitation in dementia. Am J Geriatr Psychiatry, 15(5):395-405.