連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン (1)

今回から,本学科の教員が授業で扱っている内容をちょっとご紹介します。

高校生みなさんには「介護福祉学科って,こんなことやってるんだ」と思ってみてもらえればうれしいです。

第1回は,1年生の科目「多文化共生」からです。タイトルは:マイクロアグレッションです。みなさん,下のような会話をどう思いますか?

留学生:はじめまして,グエンです。よろしく。

日本人学生:はじめまして,鈴木です。よろしくね。グエンさん国はどこ?

留学生:ベトナム。

日本人学生:へえ,そうなんだ。日本語うまいね。

なんの変哲もないように見えますが,マイクロアグレッションという考え方を加えるといつもとは違ったものが見えてきます。

マイクロアグレッションとは,マイクロ (= 小さい),アグレション (= 攻撃性) という意味から成り立っています。説明的に訳すと「小さな攻撃」のようになります。話している日本人学生に悪気はありません。むしろ,本当に「すごいなあ」と思っているのだと思います。

でも,留学生の側からすると「いつまでたっても,日本社会に受け入れてもらえない…」「自分はいつまでたっても外国人だ」という複雑な気持ちを抱くことがあるようです。

これは,異文化間コミュニケーションだけで起こる話ではなく,日本人同士でも起こりうる話です。「まだ結婚しないの?」「男性なのに料理が上手だね」…など,悪気はないけど,知らず知らずのうちに相手を枠にはめたり,区別をしたりすることがあります。

本学科では,学生同士でディスカッションをしながら,なぜマイクロアグレッションが起こるのか,これから私たちはどんなことを考えながら社会生活を送っていけばいいのか,ひとりひとりが答えのない問題に取り組んでいます。

高校までとはちょっと違う勉強の仕方を経験できるのも大学・短大の魅力です。興味を持った方は,オープンキャンパスなどで本学科にお越しの際に気軽に教員に声をかけてみてください。

参考文献:有田ら編,新井ら著,2018,多文化社会で多様性を考えるワークブック,研究社

※ マイクロアグレッションに関しては,NHKが取り上げた,こちら も参考にしてみてください。