連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン⑻

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン ⑻

今回は、「人生の物語」について考えましょう。

人間は、人生の物語をつくり、人生の物語をもつ存在と言われます。

だから、皆さん、みんな、人生の物語をもっているのです。

人生の物語と言えば、どこか難しいようですが、皆さんがこれまで歩んできた人生のことですね。

皆さんは、ご自身の人生を振り返ることはありますか。

思い出にふける。。。ってことは、ありますか?

まあ、若い方は、次々と、これからの将来を見ていて、

振り返ってる時間も気持ちもないよ。。。かもしれませんね。

私のように年齢を重ねてくると、人生を振り返ることはあります。

私の家族は、毎月のように、アウトドアのツアーをしてますが・・・

毎年の大切なイベントとして、年末には、家族全員でツアーに出ます。

そして、家族で思い出話をしたり、息子たちの小さい時の写真もみて、

家族みんなで、人生の物語を振り返ります。。。

こうした人生の振り返りを通して、人間は、自らの人生の意味を感じていくのです。

福祉の学生は、実習でも、これからの職業の現場でも、たくさんの方々に向きあいますね。

そのお一人お一人には、それぞれの人生があり、そこにすてきな素敵な人生の物語があります。

その方が、これまでに、どのような生活をして、どのように生きて来られたかが映し出されます。

その方が、その人生の物語を語ってくれるか、どうかは、わかりません。

人生の物語は、ご本人のものだから、ご本人の自由です。

あるとき、ご自身の人生の物語を、他人に語りたくなることもあります。

では、それは、どういうときに、語りたくなるのでしょう。。。

寂しい気持ち、不安な気持ち、悲しい気持ち、うれしい気持ち、幸せな気持ち・・・

その方の気持ち・心情を感じて、汲みとりましょう。。。

もし、その方が、人生の物語を語られるのなら、心を込めて聴きましょう。。。

このときは、頭で理解するのではなく、「あたたかな心」で「わかろう」としましょう。

そうすることで、互いを尊重しあって、わかちあうことができるでしょう。。。

そして、いつしか、互いのことを信じあうこともできるでしょう。。。

これからも、福祉に携わりながら、人生の物語について、感じてみましょう。(あずさ)

 

注:「cool head warm heart」(冷静な頭 あたたかな心)

(アルフレッド・マーシャル:1842‐1924)

はるか昔、私が大学生のとき、「経済学原理論」の講義で学びました。。。

それは、社会福祉の学問・実践にも通じることと、今も実感しています。

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン (7)

外国語としての日本語:これ? それ? あれ?

本学科には多くの留学生が在籍しています。留学生は,さまざまな地域からから介護を学びに来ていますが,共通語は日本語です。

日本語は決して難しい言語ではありませんが,物や話の内容を示す,指示詞 (「これ」「それ」「あれ」) の理解と習得に苦労する留学生が多いです。どんな点が難しいのでしょう?

今日は,留学生と日本語教師の会話を通して,日本語の指示詞を外国語として見てみようと思います。

留学生:先生,これ,それ,あれって,「これ」が近い物,「あれ」が遠い物,「それ」が中間ぐらいって習ったんだけど,なんか違うような気がするんです…。

日本語教師:いいことに気づきましたね。留学生が日本語の学習を始めると,なぜかそのように教わりますね。でも,もしかしたら,それは忘れたほうがいいかもしれません。

留学生:ええっ! そんな! せっかく苦労して覚えたのに…

日本語教師:うん,せっかく覚えたのに「忘れて」なんて言われるとちょっと困りますね。でも,少し考え方を変えるとわかりやすくなると思いますよ。

留学生:どう考えを変えればいいんですか?

日本語教師:「これ」「それ」「あれ」に距離は関係ないんです。

留学生:???

日本語教師:下の図を見てください。ポイントは「領域」です。(1) 話し手,(2) 相手,(3) 示す物,の3つが同じ領域いる/ある場合,(3) 示す物,は「これ」になります。

留学生:???

日本語教師:???ですよね。

留学生:なにがなんだか…

日本語教師:もうちょっとがんばってみます。ポイントは「領域」です。下の図みたいに,(1) 相手,(3) 示す物,が同じ領域,(1) 話し手だけか領域の外という場合があります。このような場合は「それ」になります。

留学生:うーん…。でも,領域ってどうやって決まるんですか?

日本語教師:確かに「うーん」って言いたくなりますね。この「領域」というのは,実は,話し手 (と相手) の主観なんです。上の図の場合は,2人の主観がこんな領域になっているってこと。

留学生:はあ。

日本語教師:すぐにわからなくてだいじょうです。ちょっとずつわかってきます。

留学生:じゃあ,「あれ」ってどんな関係になるんですか?

日本語教師:いい質問ですねえ。下の図を見てください。「あれ」の場合,(1) 話し手 と (2) 相手が同じ領域にいるけど,(3) 示す物が二人の領域の外にあります。その時は「あれ」になります。

留学生:ああ,言われてみると,(1) 話し手,(2) 相手,(3) 示す物 の関係が「領域」で違いますね。

日本語教師:そうなんです。これが基本です。この後,絵や動画を使って練習すると,割と簡単に使えるようになりますよ。

留学生:そうか,ちょっとやる気になってきました。ところで先生。(3) 示す物が目に見える「物」の時は,いいんだけど,話の中の「これ」「それ」「あれ」はどうやって考えればいいんですか?

日本語教師:いい質問ですね。今日勉強したことを基本にすれば,そんなに難しくありません。まあ,これは次回のお楽しみにしておきます。

留学生:・・・。

 

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン(6)  「着脱のコツ」について

麻痺や痛みがあると、服の着替えは大変ですね〜

でも、楽にできるコツがあります🙂✨

その方法は、たろうさんが授業で学んだことをLINEで答えています!

クリック(またはタップ)してみてください🎵

LINEの画像が出ますので左側からみてくださいね

👉   介護のコツ

 

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン(5)  「嘘(ウソ)」について

ワンポイントレッスンの第5回目は、「嘘(ウソ)」についてです。

介護福祉学科では、「コミュニケーション技術」という授業があります。介護や、精神的な支援に必要なコミュニケーションの技術を学びます。
介護や医療におけるコミュニケーションでは、治療上必要な「嘘(ウソ)」についての研究もなされていて、この授業ではそのような内容も扱っています。
「嘘をつく」ということは、倫理的に許されないといわれる一方で、日々の生活の中で「嘘」は、複雑ですが重要な役割を果たしています。たとえば、命にかかわるような危険な行動は嘘をついてでも止めようとする、というように、相手を思いやっているからこそ、使われる嘘もあるでしょう。
他にも、「嘘」には様々な種類があり、たとえば下の表のように、「相手に話を合わせるための嘘」や、「真実を伝えないといった嘘」、「些細な、罪のない嘘」などがあります。
もちろん介護や医療場面で、無条件にこれらの「嘘」が認められるわけではありません。どのような状況のときに、どのような「嘘」であれば、使用が許されるのか、許されないのか、これまでに様々な国で行われてきた調査をもとに、授業中に受講生同士で話し合ってもらうということもしています。
続きは、ぜひ授業を聴きにきてください。

 

表   Blum(1994)による嘘の分類(一部抜粋のうえ加筆)
嘘の種類 内容 実際の例
話を合わせる 認知症の人が、現実と違うことや、幻覚に影響された内容のことを言ってきても、それを否定せず、話を合わせる 認知症の人が、既に亡くなった人に会いに行くといった時に、その人は今出かけていて不在だと伝えて納得してもらう
真実を伝えない 直前まで真実を伝えないでおく 受診を拒否する認知症の人に、具体的にどこに行くかは伝えずに、ドライブと言って病院まで連れていき受診してもらう
些細な罪のない嘘をつく 真実ではない(が、時に正しいこともありうるような)ことを伝える 認知症の人が朝起きない時に、「息子さんが来るかもしれないから、起きて着替えておきましょう」と言って起きてもらう
認知症;脳の病気が原因で、もの忘れがひどくなったり、今まで簡単にできていたことができなくなる症状や状態

Blum N.S. (1994) Deceptive Practices in Managing a Family Member with Alzheimer’s Disease. Symbolic Interaction, 17(1), 21-36.

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン(4)

リハビリテーションって何だろう

「リハビリ」という言葉をよく耳にしませんか?どんな時にどんなところで聞くでしょう?

例えば、何らかの障害によって歩くことが困難になった人が、歩く練習を一生懸命に頑張っていることがあります。その時に、「リハビリ」と言葉をつかっていませんか?

リハビリ (rehabilitation) という言葉は、ラテン語の re(再び)ーhabilis(適応)です。

現代では,体だけではなく、その人が持っている権利や能力の回復や適応できると、名誉の回復のことを指します。難しいですが、要するに「再び自分らしい状況になること」という意味です。それには、職業・教育・経済に関し社会からの支援を受けることも含みます。

現代では人間らしく生きる権利を復活させること。

「全人間的復権」をさします。

では、ひざが痛くなった高齢者が、病院に通って電気やお湯で痛みを和らげている。これはどうでしょうか。

体の痛みや障害にのみ視点を当てるのではなく、その人自身の人間らしく生きる権利の復権であることを学んでください。

皆さんがこれまで知っていた「リハビリ」と今、学んだ「リハビリ」と違いはありましたか?

リハビリについて一緒に学んでいきましょう。

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン(3)

学 科 教 員 に よ る ワン ポ イ ン トレ ッ ス ン の第 3 回 目 は 、「生 物 学 」で す 。 介 護福 祉 士 を 目 指す 学 生 さ ん の 授 業で す か ら 、「 人間 の 身 体す べ て 」 を学 び ま す 。次 の よ う な問 題 に 取 り 組みながら、消化・吸収・代謝・排泄などを理解します。では、読んでみましょう。

A さ ん ( 女 性 ・8 2 歳 ) は、 医 師 か ら1 日 3 回 食 後に 服 用 す る薬 が 処 方 され て い る 。Aさんの食事時間は、朝食(8:00 ~ 8:40)、昼食(12:10 ~ 12:50)、夕食(18:00 ~ 18:40)である 。 あ る 日 、 朝 食 後 に 服 用 し な け れ ば な ら な い 薬 を 飲 み 忘 れ て し ま っ た 。飲 み 忘 れ て いることに気がついた時間は、その日の 11:00 であった。
さ て 、 A さ ん は 、 ど の よ う な 行 動 を す る の が 望 ま し い か 、 ど の よ う な 行動 が 望 ま し くないか、考えてみましょう。
飲 み 忘 れ た 薬 は す ぐ 飲 む の か な ?  飲 み 忘 れ た 薬 を す ぐ 飲 む と 危 険か な ?    な ぜ か な ?
誰に尋ねれば良いのかな。それはなぜかな。 残りの授業は「介護福祉学科」にいらっしゃってください。 お待ちしています。

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン ⑵

学科教員(あずさ)によるワンポイントレッスンの第二回目は、「社会福祉」です。

社会福祉のとらえ方として、いろいろな視点・観点(パースペクティブ)があります。

ここをおさえないままであると、学びとしても、実践としても整理もできずに、

我が道を突き進んだりして、考え方もばらばらになってしまいます。

例えば、こんな視点があります。。。

「主観と客観」「ミクロとメゾとマクロ」「価値と価値観」「多様なモデルとアプローチ」

そして、「原則と原理」…などなどです。

社会福祉は「実践の学問」といわれます。理論だけでなく、実践も必要なんです。

このあたりは、講義でじっくりと学んでいきます。。。

今日は、上に挙げた、さまざまなとらえ方からもみていく必要があるテーマの一つとして、

「生活」から、あれこれと考えてみます。。。

生活は、いつから始まりますか。。。私も父親として、息子らの誕生に立ち合いました。

生活は、いつにおわりますか。。。私も息子として、父と母を看取りました。

うれしかったし、悲しかったけれど・・・人間としての感動と学びもありました。。。

いまも、私のなかでは、ともにいます。

そうすると、生活の始まりも、生活のおわりも、理論的に、客観的に、測れるのかな。。。

私のなかの世界、「主観」だし、「ミクロ」な心のなかのこと。。。

こうしたとらえ方は、その人の「価値観」だし、生き方だし、十人十色。。。

同じでなくていい、ちがってていい。。。

あえてそれらを、社会福祉からとらえていこうとする方法に、

多くの「モデル」や「アプローチ」があります。

一人の個人を、「心理的にみていく」

あるいは、「環境からみていく」

あるいは、「治療を必要とする方としてみていく」

あるいは、「(その方の)育ちや生活歴(←人生ですね)からみていく」

あるいは、「(その方の)人間関係や社会関係からみていく」

こうしたモデルやアプローチの方法を活用して、その人のことがわかってくる。。。

そして、一つの実践として、(人は人を)支援していく。。。

ここで、大切なことは、こうした実践の積み重ねというのは、

あくまで経験則があり、あくまで「原則」です。

でも、こうした原則や科学的方法からはとらえることができないこともあります。

一人の方の、人間の存在、人間の尊厳、です。

これは、科学的に証明できないことでもあります。。。

これには、人間と人間が向き合う上で、揺るがない「価値」があります。。。

人間の存在、人間の尊厳を否定することは、認められません。

これは、社会福祉の根底にある「原理」です。

でも、これは、社会福祉の世界だけに限りません。

人間が、人間として生きていく上で、向き合う方を尊重するという価値に基づく生き方です。

 

最後に、繰り返します・・・

社会福祉は、実践の学問です。実践と学問の両方が必要です。

その根底に、人間の存在と人間の尊厳という価値があります。

社会福祉の学びでは、ここをおさえましょう。。。

「では、みんな楽しみにしている?・・・あずさ講義でお会いしましょう。」(あずさ)

 

連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン (1)

今回から,本学科の教員が授業で扱っている内容をちょっとご紹介します。

高校生みなさんには「介護福祉学科って,こんなことやってるんだ」と思ってみてもらえればうれしいです。

第1回は,1年生の科目「多文化共生」からです。タイトルは:マイクロアグレッションです。みなさん,下のような会話をどう思いますか?

留学生:はじめまして,グエンです。よろしく。

日本人学生:はじめまして,鈴木です。よろしくね。グエンさん国はどこ?

留学生:ベトナム。

日本人学生:へえ,そうなんだ。日本語うまいね。

なんの変哲もないように見えますが,マイクロアグレッションという考え方を加えるといつもとは違ったものが見えてきます。

マイクロアグレッションとは,マイクロ (= 小さい),アグレション (= 攻撃性) という意味から成り立っています。説明的に訳すと「小さな攻撃」のようになります。話している日本人学生に悪気はありません。むしろ,本当に「すごいなあ」と思っているのだと思います。

でも,留学生の側からすると「いつまでたっても,日本社会に受け入れてもらえない…」「自分はいつまでたっても外国人だ」という複雑な気持ちを抱くことがあるようです。

これは,異文化間コミュニケーションだけで起こる話ではなく,日本人同士でも起こりうる話です。「まだ結婚しないの?」「男性なのに料理が上手だね」…など,悪気はないけど,知らず知らずのうちに相手を枠にはめたり,区別をしたりすることがあります。

本学科では,学生同士でディスカッションをしながら,なぜマイクロアグレッションが起こるのか,これから私たちはどんなことを考えながら社会生活を送っていけばいいのか,ひとりひとりが答えのない問題に取り組んでいます。

高校までとはちょっと違う勉強の仕方を経験できるのも大学・短大の魅力です。興味を持った方は,オープンキャンパスなどで本学科にお越しの際に気軽に教員に声をかけてみてください。

参考文献:有田ら編,新井ら著,2018,多文化社会で多様性を考えるワークブック,研究社

※ マイクロアグレッションに関しては,NHKが取り上げた,こちら も参考にしてみてください。

 

 

 

 

 

ツバメの巣立ち

燕は地球北半球の広い範囲に分布しています。日本には夏鳥押して飛来します。

早い時には3月頃見かけるときもありますが、温かくなった4月くらいによく見かけるようになります。今の時期には卵を産み、温め、卵からかえったひな鳥が巣から頭を出し、ピヨピヨとなく姿も見かけるでしょう。

繁殖を行った後、9月から10月になると越冬するために東南アジア方面にわたり始めます。中には地域によって渡りをせず、国内で越冬する燕もいます。

今時分、田舎に行くと燕が巣作りを始めたり、ひな鳥が巣から頭を出し,大きな鳴き声とともに餌を求める姿をよく見かけます。それが過ぎると旅たちの練習を始めます。いよいよ1人立ち、旅立ちの始まりです。

学校でも、これに似た現象があります。この東大阪大学で学び、3月になるとこの学園から、学生皆さんが旅立っていかれます。

私たち教員にとっては、それはそれは、うれしい、感激の1シーンです。また、旅立ちの後の学生さんたちが成長していく姿も味わい深い、大きな喜びとなっています。

燕のように、元気に飛躍していってほしいと思っています。

※ツバメのイラストは「いらすとや」からお借りしました。