連載企画:学科教員によるワンポイントレッスン(10)   「行動」のもつ意味について

認知症や、発達障害、知的障害の人がいわゆる“問題行動”を起こすのには、何らかの理由や意味があり、それを考えることが重要です。
“問題行動”がもつ意味を考えることがなぜ重要かというと、たとえば繰り返し「大声」をあげるという“問題行動”で考えてみるとよく分かります。介護施設や、障害のある人の施設などではよく見かける光景ですが、「大声」という行動一つとっても、①ある人にとっては、大声をあげることによって職員が優しくなだめに来てくれるといったように他者のかかわりを得るための意味をもっていたり、②また別の人にとっては大声をあげることによって、嫌いな他の入居者を追っ払うという他者との接触を避ける意味をもっていたりすることがあります。
つまり、これらは同じ「大声」という行動にみえますが、もっている意味は真逆ということになります。そのため、もっている意味を取り違えてケアをしてしまうと、この“問題行動”を逆に悪化させてしまうことになります。このように同じようにみえる「大声」という“問題行動”ですが、それぞれのもつ意味に応じた異なるケアをしなければなりません。介護福祉学科の授業では、より正確に“問題行動”のもつ意味を見極め、それに応じたケアを行う方法を詳しく解説しています。一緒に学んで、介護のスペシャリストを目指しましょう!

O’Neill, R. E., Horner, R. H., Albin, R. W., Sprague, J. R., Storey, K., & Newton, J. S. (1997) Functional assessment and program development for problem behavior : A practical handbook. Brooks/Cole, California. 三田地昭典・三田地真実監訳(2003)子どもの視点で考える 問題行動解決支援ハンドブック. 学苑社.