新企画 高校生にお勧めの介護関連書籍 (1)

川添愛著, 2021,言語学バーリ・トゥード,東京大学出版会

今回から,高校生の皆さんにお勧めの書籍を紹介する新企画がスタートします。介護福祉学科教
員のマニアックな趣味の一面がのぞけるかもしれません。ご期待ください!

第1回目からマニアックな本の紹介です。

「言語学+プロレス」という一部の人にはたまらないタイトルに加え,「AIは『絶対に押すな
よ』を理解できるのか」とのサブタイトル,さらに表紙を飾る大物たち (センターは,言語学の巨星,ノーム・チョムスキー!) のイラストに惹かれ即買いしました。

筆者は,日常コミュニケーションについて,「意味」と「意図」を区別しています。「意味」は,辞書的な意味や文そのものが表す内容,と説明しています。それに対し「意図」は,単語
や文に載せて話し手が利き手に伝えたいこと,と説明しています。

「意味」と「意図」を区別することによって,私たちは,熱湯風呂にまたがった大物芸人の名人
芸を堪能することができます。「押すなよ」の「意味」は,文字通り「押すな」ですが,「意図」
は「押せ」ということを,私たちは知っているからです。

表紙の帯で強調されている「読むなよ,絶対に読むなよ!」も「意味」と「意図」が異なる例で
す。

AIの進歩は目覚ましいものがあるものの,現時点ではAIが「絶対に押すなよ」を理解するこ
とは難しいだろうと筆者は述べています。

この新企画が始まるの前の,学科教員のワンポイントレッスンの (5) や (10) などの話は,「意味」と「意図」の違いを意識してみると腑に落ちる部分があるかもしれません。

専門性の高い介護福祉士になるために,幅広い領域にアンテナを張ってみましょう。

読者の皆さん,これからもこのブログを…

“読むなよ,絶対に読むなよ!”